下歯槽神経について
こんにちは。吉祥寺 さくま歯科 佐久間琢です。
口腔外科の分野から下歯槽神経についてです。
下歯槽神経は、三叉神経(さんさしんけい)の枝で、下アゴの骨の中を走る感覚神経です。
下アゴの歯と歯肉、下唇とアゴの皮膚の感覚をつかさどり、
下顎管(かがくかん)とういう管の中を血管と一緒に走ってきます。
下歯槽神経に問題が起こるのは
①親知らずの抜歯
②インプラント
③根尖病巣(根の先の病気)
かと思われます。
それぞれのトラブルについて見てみましょう
①親知らずの抜歯
親知らずの根は下歯槽神経に近い事が多いので抜歯した時に神経麻痺を出すことがあります。
神経麻痺の出現に関しての報告は0.5%から約4%くらいで幅があります。
しかし、麻痺が出た患者さんにとっては確率の低い高いは関係ありませんね。
神経はかなりデリケートで、空気に触れただけで麻痺が出ることがあります。
麻痺が出るかどうかは抜歯してみないとわからないというわけです。
神経に近い親知らずは特に注意が必要です。
麻痺が出るかもしれないというトラブルは
親知らずの抜歯をするか考える時の判断材料になりますね。
親知らずを抜歯すべきか、しないで残すべきかについては
ホームページ本編にも書いてありますので、ご覧になってください。
②インプラント
骨の中にインプラントを埋入する時、インプラントは長いほうが有利です。
しかし、下歯槽神経までの距離が短く、長いインプラントが使えない症例があります。
この場合、骨を増やす手術や、傾斜させてインプラントを埋入する必要が出てきます。
また、インプラント埋入後に下歯槽神経麻痺が出現することがありますが、
この場合は、骨とインプラントが接合する前に、
インプラントの引き上げか、撤去を行うべきです。
骨とインプラントが接合してからは撤去がかなり困難になります。
③根尖病巣(根の先の病気)
根の先の病気は症状がなくても徐々に大きくなります。
大きくなると、下歯槽神経を圧迫したり、炎症が神経に波及して影響を及ぼすことがあります。
レントゲンを撮りながら経過を観察するか、
症状がないからといって放置しないで小さいうちに治療すべきです。
また、根の治療中に薬液がもれて神経を障害したという報告もあります。
下歯槽神経の麻痺として書いてきましたが、
下歯槽神経の障害については麻痺と知覚鈍麻(ちかくどんま)があります。
麻痺は、感覚が完全になくなってしまうことで、
知覚鈍麻は感覚が弱くなると考えてください。
知覚鈍麻が起こると、日常生活では、
ご飯粒がついてもわかりにくいとか、ヒゲを剃っている時の感覚が弱くなったりします。
神経麻痺の治療法
もし、麻痺や知覚鈍麻が出てしまったら、基本的には薬を飲んで対処します。
一般的にはビタミン製剤と神経賦活作用のある薬の内服です。
今日は文章ばかりでしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
投稿日:2009年10月2日 カテゴリー:口腔外科