インプラントの骨補てん材について
こんにちは。武蔵野市 吉祥寺 さくま歯科 佐久間琢です。
今回はインプラントの分野から骨補てん材についてです。
インプラントの手術では、骨とインプラント体との間に隙間が生じる事があります。
この場合、スペースをうめるために骨補てん材を使います。
症例の前に種類を見てみましょう。
①自家骨
②他家骨
③異種骨
④人工骨
大きく分けてこの4つになると思います。
ではそれぞれについて簡単に解説します。
①自家骨
移植骨の種類では一番と言われていました。
オトガイ部(下の前歯のあたり)や下顎枝(かがくし)の部分から骨を採取して移植します。
自分の骨なので安全性が高いのですが、
現在では手術の侵襲が大きくあまり推奨されません。
②他家骨
他人の骨を移植します。欧米では安全性が高いとされもっとも用いられている移植骨です。
脱灰凍結乾燥骨(DFDBA)と凍結乾燥骨(FDBA)に分けられます。
③異種骨
ウシ由来の骨などを移植します。
狂牛病の問題などから敬遠されています。
④人工骨
ハイドロキシアパタイト(HA)とβ-TCPが代表的です。高価な骨です。
他人の骨や他の動物由来の骨を使わないので良いと思います。
いろいろありますがどれを使うべきかと思いますよね?
いろいろな意見がありますが、私の考えは④の人工骨です。
他人の骨や他の動物の骨はいくら安全といわれてもあまり気持ちのよいものではありません。
また、①の自家骨は安全ではありますが、
手術の傷も複数箇所できるし患者さん側の負担が大きすぎると思います。
治療はインプラントに限らずシンプルに行うべきです。
シンプルであるほど体に対する負担は少ないと思います。
症例を見てみましょう。
移植骨はこのような瓶に入っています。
顆粒の大きさに種類があります。
ハイドロキシアパタイト(HA)は非吸収性でβ-TCPは吸収性の材料です。
インプラント手術において、移植骨を使う場面はろいろありますが、
この2つを混ぜたりあるいはどちらか一方を使うようにして非吸収性と吸収性を使い分けるのですね。
このケースは抜歯即時埋入(歯を抜歯して、すぐにインプラントを埋入する方法)です。
左の写真のようにインプラントと骨の間に人工骨を入れます。
右の写真のように膜を設置して縫合します。
私が使用するインプラントは表面にハイドロキシアパタイトがコーティングしてあり、
このような症例では6週間後には仮の歯が入ります。
このような感じで骨補てん材を使用するというわけです。
次回はインプラントに関連して上顎洞底挙上術(サイナスリフト)について書こうと思います。
投稿日:2009年11月24日 カテゴリー:インプラント