予防歯科
予防歯科
以前は、悪い所を治療するという考えに重点が置かれていましたが、最近では予防の概念が定着してきました。Cure(治療)からCare(予防)へと考え方がシフトしているわけです。
悪い所を治したら、定期検診を受け現状を維持しましょう。当院ではリコールはがきを郵送し、定期検診の時期をお伝えしています。
8020運動
8020運動とは、「80歳になっても20本以上自分の歯を保つ」という運動の事です。
いろいろな研究調査から、20本の歯が残っているとほとんどの物をしっかり咬んで食べる事ができる事がわかっています。これが 8020運動の根拠となっているのです。
平成17年の歯科疾患実態調査では、前回調査に比べて、80歳での平均残存歯数が4本から8.9本へと増加しました。
この結果は予防歯科の推進で、歯周病や虫歯の予防が少しずつ定着してきていることの表れです。
予防意識を強く持って定期的な受診を行い、口腔環境の維持に努めないといけません。
虫歯予防
酸性になる状況を最低限にすることが虫歯予防になります。4つの条件をコントロールすることが大切です。
4つの条件
①細菌
虫歯菌(ミュータンス菌などの病原菌)を口の中で停滞させないように食べたら歯磨きをして細菌の数を減らす。
②糖質
虫歯菌の栄養源となる砂糖類を歯面に付着させたままにしない。
③宿主
フッ素の利用などで歯の質を強化して虫歯に強い歯を作る。
④時間
糖類が口の中に入る回数が多いと虫歯になりやすくなります。オヤツは時間を決めて摂り、何度も間食しない。食べたら歯磨き。
4つの条件をコントロールして虫歯予防を行います。正しい歯ブラシの方法、フッ素塗布、キシリトールなどの代用甘味料の使用など歯科衛生士が説明します。
歯周病予防
ブラッシング指導
必ず磨き残しや苦手な部分があります。再度ブラシの当て方を確認します。
スケーリング
日々の歯磨きだけでは 落としきれない歯石や着色をきれいにします。
PMTC
フッ素配合の研磨剤を使用し、機械的に研磨することで歯面をつるつるにします。
スプラッソン
モードが細かく設定でき、超音波振動で痛みを伴わず歯石除去が可能です。歯周組織に安全です。
歯の数と医療費
歯の数が少ない人ほど医療費がかかっているという事がわかっています。
65歳以上の医療費は国の医療費のうち半分以上を占めています。(国の医療費はおよそ32兆円)
さらに生活習慣病にかかっている医療費は10.4兆円です。
昔は結核などの感染症で死亡していましたが、疾病構造が変化し現在では生活習慣病が死因の上位を占めます。
生活習慣病の(慢性疾患)の予防に本気で取り組まないと膨大な予算で今後保険制度は維持できないのは明らかです。
生活習慣病(慢性疾患)の予防は良く噛む事から始まります。歯ごたえのあるものをよく噛むことで、食べ過ぎを抑えられます。
良く噛むには、口腔内環境を整える必要があります。歯を失ったままの所は治療し咬む機能を回復しないといけませんし、歯を悪くしないために予防意識を持って定期検診とクリーニングが絶対必要な訳です。
セルフケアについて
いくら定期検診を受けても、セルフケアができていないと状態を維持できません。一番大切なのは毎日の歯磨きです。 忙しくしているとつい忘れがちですが、食後は必ず歯を磨く習慣をつけましょう。定期検診では個人に合ったセルフケアの方法を提案いたします。
1.歯間ブラシ、デンタルフロスの使用方法
2.フッ素入り歯磨き粉の使用
フッ素には様々な働きがあります。
a.酸産生抑制
細菌の働きを弱めて酸の産生を抑えます。
b.再石灰化
酸によって溶けた歯質(虫歯になりかけている部分)の石灰化(修復)を促進します。
c.歯質の強化
酸によって溶けにくい歯の表面を作ります。
アメリカではすでに予防の概念が定着しています。歯科の受診率に関するある報告によると、アメリカでは人口の60%~70%が歯科を受診し、日本人は30%と言われています。
アメリカの保険制度では1本の歯にかぶせものをするために数十万ものお金がかかります。当然、悪くならないように予防しようという意識が日本以上に強く、日米の受診率の差になって表れていると思います。
近年、日本でも予防の意識が高まりつつあります。治療の後は現状を維持するために必ず定期検診を受けましょう。